営業とは一体何なのか。御用聞きなのか、それともフロントに立つ花形の仕事なのか。この問いに、明快な答えを持っている人は意外と少ない。

顧客接点を持ち、説得し、対価を得る仕事

世の中には様々な仕事・サービスがあるが、その中で最も難しいことの一つが「お金をもらう」ことだ。良いものを作ること、良いサービスを設計すること、それ自体も簡単ではない。しかし、それを相手に説明し、納得してもらい、実際に対価を支払ってもらうところまで持っていく——この最後の一歩が、何より難しい。

そして、その一番難しい部分を一手に引き受けているのが営業という仕事だ。顧客接点を持ち、顧客を説得し、お金をもらう。マーケティングが認知を作り、開発が価値を作っても、最終的にそれをお金に変える瞬間に立ち会うのは営業である。

ある時は御用聞き、ある時はコンサルタント、ある時は壁打ち相手

営業という仕事の難しさは、相手によって求められる役割がまったく異なる点にもある。

ある顧客には、細かな要望を丁寧に聞き取り、淡々と対応する「御用聞き」としての振る舞いが求められる。別の顧客には、業界の知見や専門性を武器にした「頼れるコンサルタント」としての立ち位置が期待される。またある時は、顧客自身がまだ整理しきれていない課題やアイデアを一緒に頭の中で整理する「壁打ち相手」としての役割を担うこともある。

同じ商材を売っていても、目の前にいる相手が誰かによって、営業担当者は求められるロールを瞬時に切り替えなければならない。これは単なるトークスキルの話ではない。相手の立場・状況・性格を読み取り、最適な関わり方を選び取る、かなり高度な対人スキルだ。

それでも、最後は売上でしか評価されない

しかし、ここまで書いたような多面的な役割をどれだけ見事にこなせたとしても、結局のところ営業という仕事は、売上を取ってこられなければ評価されない。

御用聞きとして丁寧に対応した。コンサルタントとして的確な提案をした。壁打ち相手として顧客の思考整理に貢献した。どれも立派な仕事だが、それが受注という結果に結びつかなければ、営業としての評価にはつながりにくい。これは営業という職種の残酷さでもあり、同時に分かりやすさでもある。

プロセスがどれだけ優れていても、結果が伴わなければ意味がない、という考え方に賛否はあるだろう。しかし、営業という仕事が「お金をもらう」という最も難しい局面を担っている以上、その成果が売上という形で測られること自体は、ある意味で当然のことなのかもしれない。売上を上げるのが営業の仕事だからだ。

役割の多面性と、成果の一元性という矛盾

営業という仕事の面白さと難しさは、この「役割は多面的だが、評価は一元的」という矛盾にあると思う。相手によって求められる姿は変わり続けるのに、最終的に問われるのはただ一つ、売上を作れたかどうかだ。

この矛盾に向き合いながら、目の前の相手に合わせて自分の見せ方を変え続け、それでいて最終的な結果にコミットし続けられる人が、優れた営業担当者と呼ばれるのだろう。営業代行という仕事を通じて多くの営業現場を見てきたが、この「多面性と結果へのこだわり」を両立できる人材こそが、業界を問わず成果を出している。

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