「営業代行を使いたいが、成果が出るか分からない段階で固定費は払えない」。この悩みに対する答えが完全成果報酬型です。初期費用も月額固定費もなく、アポイントや商談といった成果が発生した分だけ支払う。仕組みは単純ですが、会社ごとに「何を成果と呼ぶか」と単価の設計が異なり、そこを読み違えると安いはずの契約が高くつきます。完全成果報酬型の定義、成果の定義による単価差、主要会社の比較表、契約前に投げる確認質問、向いている会社の条件を順に整理します。
完全成果報酬型の「完全」は、初期費用も月額固定費もゼロという意味
営業代行の料金体系は大きく3つに分かれます。稼働人数や時間に応じて毎月一定額を支払う固定報酬型、架電1件ごとに課金するコール課金型、そして成果が発生したときだけ支払う成果報酬型。完全成果報酬型は成果報酬型の中でも、初期費用・月額固定費・最低保証料のいずれも設定しない方式を指します。
「成果報酬型」と名乗る会社でも、初期設定費やリスト作成費、月額の最低料金を別建てで請求する設計は珍しくありません。成果が出なければ請求ゼロという状態を本当に実現できるのは、固定部分が一切ない完全成果報酬型だけ。比較のときは「成果報酬」という言葉ではなく、成果ゼロの月に請求書が発行されるかどうかで見分けます。
発注側から見た利点は、リスクが「単価×件数」に限定される点です。成果が出なければコストもゼロ、出れば予算内で件数が読める。営業代行を初めて使う会社や、商材が市場に受け入れられるか検証したい段階の会社にとって、失敗の損失を小さく抑えられる設計です。
一方、代行会社側は成果が出るまで自社負担で稼働するため、採算が合う商材・ターゲットかどうかを受注前に見極めます。商材単価が低い、ターゲットが極端に狭い、決裁者に電話でつながりにくい業界では、そもそも受けてもらえないか、単価が跳ね上がる。この構造を知っておくと、後述する単価差や条件変更の背景が読めます。
「アポ」「有効商談」「受注」──成果の定義が単価と質の両方を決める
完全成果報酬型を比較するとき、単価の前に確認するのが成果の地点です。同じ「1件」でも、どの時点でカウントするかで意味がまったく違います。
| 成果の地点 | 成果とみなす状態 | 単価の水準 | 発注側の負担 | 起きやすいズレ |
|---|---|---|---|---|
| アポイント | 訪問・オンライン商談の日程が確定した時点 | 低い | 商談の質の見極めを自社で行う | 担当者不在・ニーズなしの面談が混じる |
| 有効商談 | 日程確定に加え、課題やヒアリング内容が事前に共有された商談 | 中程度 | 有効条件のすり合わせに時間がかかる | 「有効」の判定で代行会社と意見が割れる |
| 受注 | 契約・成約が成立した時点 | 高い(売上の一定割合が多い) | 商談以降のプロセスを代行会社に開く必要がある | 受注の帰属や紹介経路で揉める |
単価の水準を数字で置くと、アポイント1件あたり1〜4万円程度、受注連動では売上の20〜50%程度をインセンティブとする設計が多く見られます。アポ単価が安く見えても、そのうち何件が商談として成立するかは別問題。アポの定義が「日程が入ったこと」だけなら、担当者が話を聞く気のない面談や、決裁権のない相手との面談も1件として請求されます。
有効商談を成果とする場合は、条件の明文化が要です。例えばラクスルBPOは「日程が確定しており、事前にヒアリングした内容や合意事項が明確になっている商談」を有効商談とし、日程だけを押さえた面談予約は件数に含めない、と定めています。この水準を自社の言葉で書き出し、契約書か発注書に載せる。ここまでやって初めて、単価を横並びで比較できる状態になります。
受注連動型は発注側の現金リスクが最も小さい代わりに、商談から受注までのプロセスを代行会社に見せる必要があり、受注後に「誰の成果か」で揉める余地が残ります。商談以降を自社で完結させたい会社には、有効商談までを成果地点とする設計のほうが運用しやすい。
単価は「1件いくら」ではなく「受注1件あたりの獲得コスト」で比べる
単価表を見比べて最安を選ぶと失敗します。比較するのは、受注1件を得るまでに払う総額です。
アポ単価型なら、次の式で受注1件あたりの獲得コストが出ます。
受注1件あたりの獲得コスト = アポ単価 ÷ 商談化率 ÷ 商談からの受注率
仮の数字で置いてみます。アポ単価1万5,000円、獲得したアポのうち有効な商談に進む割合が50%、商談からの受注率が20%なら、受注1件あたり15万円。一方、有効商談単価4万円で、有効商談からの受注率が25%なら、受注1件あたり16万円。単価には2.7倍近い差があるのに、受注1件あたりのコストはほぼ同じ水準に収まります。
この式が示すのは、単価の安さは商談化率の低さで打ち消される、という構造です。安いアポを大量に受け取ると、自社の営業担当が質の低い面談に時間を使い、その人件費は表に出ない。単価を比較する前に、自社の営業1人が1か月に対応できる商談数と、1商談にかかる時間を見積もっておくと、必要なのは「安いアポ」なのか「少数でも確度の高い商談」なのかが決まります。
固定報酬型との比較も、同じ受注1件あたりのコストに換算します。月額固定費を、その月に得られた有効商談数で割れば1商談あたりの単価が出る。想定件数が多く安定して読める会社ほど固定報酬型が有利になり、件数の見通しが立たない会社ほど完全成果報酬型が有利。損益分岐は自社の想定件数で計算できます。
完全成果報酬型の営業代行会社比較
| 会社名 | 目安単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| アイランド・ブレイン | 16,500円/件 | 固定費なしの一律料金体系、幅広い業種に対応 |
| 株式会社完全成果報酬 | 15,000円〜/件 | BtoC訪問営業にも対応 |
| リノアーク | 10,000円〜/件 | 責任者クラスへのアポ獲得を強みとして掲げる |
| ディグロス | 8,000〜80,000円/件 | テレアポ代行の実績を訴求 |
| ルーツアルファ | 10,000円〜/件 | BtoB・BtoC双方に対応 |
| ラクスルBPO | 40,000円/件(有効商談) | 初期費用なし・月1件から依頼可能、コールセンター構築・SFA提供までワンストップ |
ポイント:単価の低さだけで選ぶと、質の低いアポイントが量産され、かえって商談化率が下がるケースもある。「アポイント」なのか「有効商談」なのか、成果の定義を事前にすり合わせることが比較の出発点になる。
表の読み方を3点挙げます。1つ目は「〜円/件」の「件」が何を指すか。アポイントか有効商談かで、同じ金額でも意味が変わります。2つ目は単価の幅。「〜円〜」や「8,000〜80,000円」のように幅がある会社は、商材や難易度で単価が変わる設計と読めるため、自社の商材でいくらになるかを見積もりで確定させる必要があります。3つ目は単価以外の提供範囲。リストの提供、録音の共有、SFAでの進捗確認、商談代行や既存顧客フォローまでの対応範囲は、単価の欄には表れない差です。
単価だけでなく、成果の定義・対応業種・稼働開始までのリードタイムを併せて確認したい。相場より高く見える単価でも、有効商談の条件が厳しく商談化率が高ければ、受注1件あたりのコストでは逆転します。
完全成果報酬型で起きる典型トラブルと、契約前に投げる確認質問
完全成果報酬型は「成果が出なければ払わない」仕組みですが、成果の件数を増やしたい代行会社と、質の高い商談を求める発注側の利害は、契約設計が甘いとぶつかります。よく起きるトラブルは4種類。
質の低いアポイントの量産。 アポの定義が緩いと、件数を稼ぐ動機が働き、商談化しない面談が増えます。防ぐには、有効条件(決裁者または担当部門の責任者であること、課題の有無を事前に確認していること、日程と参加者が確定していること)を書面にし、条件を満たさない件は請求対象外と明記します。
キャンセル・日程変更の扱い。 先方都合で商談がキャンセルされた場合、代行会社は「アポは取った」と主張し、発注側は「商談していない」と考える。請求対象になるかどうかを契約前に決めておかないと、毎月揉めます。キャンセル・アポなし時は請求から除外する条件が、発注側にとって安全です。
途中の条件変更。 稼働してみると想定より難易度が高く、代行会社から単価の引き上げや、リスト作成費の追加、月の最低件数の設定を求められるケースがあります。契約書に単価の改定条件と、改定時の合意手順を書いておけば、一方的な変更は防げます。
稼働の後回し。 成果報酬型では、代行会社は採算の良い案件を優先します。難易度の高い商材は架電の優先度が下がり、成果が出ないまま数か月が過ぎることもある。稼働開始日と、月の架電目安件数(成果ではなく活動量)を確認しておくと、後回しにされているかどうかが見えます。
契約前に投げる確認質問を、そのまま使える形でまとめます。
- 「成果」の定義は何ですか。アポイントですか、有効商談ですか
- 有効商談の条件(相手の役職、事前ヒアリングの内容、日程確定)を文書で示せますか
- 先方都合のキャンセル、当日不在、日程変更は請求対象になりますか
- 初期費用、リスト作成費、月額最低料金、解約手数料はありますか
- 単価が途中で変わる条件と、その際の合意手順はどうなっていますか
- 月の最低発注件数や、最低契約期間はありますか
- 架電リストは御社で用意しますか、自社で提供する前提ですか。自社リストの帰属はどうなりますか
- コール録音を共有してもらえますか。共有の範囲と頻度は
- 稼働開始までの期間と、月の架電目安件数はどのくらいですか
- 成果報告はどの頻度で、どの形式(SFA、レポート、メール)で受け取れますか
この10問に即答できる会社は、成果の定義と運用ルールが社内で固まっています。答えが曖昧な会社は、稼働後も同じ曖昧さで請求が来ます。
完全成果報酬型が向いている会社、向かない会社
向いている会社の条件は3つ。
- 営業代行の利用が初めてで、まずは小規模に効果検証したい
- 繁忙期・閑散期の波があり、成果が出た分だけコストを払いたい
- 固定費を抑えつつ、商談機会を安定的に増やしたい
加えて、商談1件から見込める粗利が単価を十分に上回る商材であること。仮に有効商談1件の単価が4万円なら、受注率と粗利から逆算して「商談4件に1件受注できれば回収できるか」を試算します。回収できる商材なら、完全成果報酬型は使いやすい。
向かない会社もはっきりしています。
- 商材単価が低く、受注しても1件あたりの粗利が数万円に届かない(単価を回収できない)
- ターゲットが極端に狭く、代行会社が採算を見込めない(受けてもらえない、または単価が跳ねる)
- 商談の質を自社で定義できず、有効条件を示せない(アポの質で揉める)
- 稼働の作り込みや長期的な戦略設計、営業組織の立ち上げまで任せたい
最後の条件に当たる会社は、固定報酬型や、月額と成果報酬を組み合わせたハイブリッド型のほうが向きます。成果報酬型は「決まった成果を買う」仕組みであって、戦略を一緒に作る仕組みではない。任せたい範囲が成果の獲得だけなのか、営業の設計まで含むのかで方式を選びます。
よくある質問
Q. 自社に架電リストがない場合でも、完全成果報酬型で依頼できますか A. 会社によります。代行会社側でターゲットリストを用意する会社もあれば、自社リストの提供を前提とする会社、リスト作成を別料金にする会社もあります。リストなしで依頼する場合は、リスト作成費が固定費として発生しないかを確認してください。
Q. アポイントの質が低い場合、返金や交換はできますか A. 会社によって条件が異なります。有効条件を満たさない件を請求対象外とする会社もあれば、代替アポの再設定で対応する会社もあります。成果の定義と再稼働の条件を契約前に確認しておきたいところです。
Q. 完全成果報酬型でも最低契約期間はありますか A. 会社によっては一定期間の契約を求められる場合があります。「完全成果報酬」であっても最低契約期間や月の最低件数が設定されていれば、実質的な支払いの約束が発生するため、契約前に確認が必要です。
Q. BtoC商材でも完全成果報酬型は使えますか A. 使えます。比較表にある通り、BtoCの訪問営業やBtoB・BtoC双方に対応する会社があります。ただしBtoCは成果の定義(来店、面談、契約)が業種で大きく異なるため、BtoBよりも成果地点のすり合わせに時間をかける必要があります。
Q. 受注連動型とアポ単価型、どちらを選ぶべきですか A. 商談以降を自社で完結させたいならアポ単価型または有効商談型、商談から受注まで任せたいなら受注連動型です。受注連動型は現金リスクが最小ですが、売上の一定割合を継続的に支払う設計が多く、受注単価が高い商材ほど総額は大きくなります。
あわせて読みたい
費用や料金体系の判断に関わる記事を挙げておきます。
- ラクスルBPOとアイランド・ブレインを比較|料金体系・対応範囲の違い
- ラクスルBPOとコンフィデンスを比較|料金体系・対応範囲の違い
- ラクスルBPOとSALES ROBOTICSを比較|料金体系・対応範囲の違い
- 固定報酬型 vs 成果報酬型 vs コール課金型
営業代行の費用・料金の記事は「営業代行の費用相場と料金体系(固定報酬 vs 成果報酬)」に一覧でまとめています。費用・選び方・導入手順をまとめて確認するには営業代行の検討ガイドが便利です。料金の一例として、ラクスルBPOは初期費用なし・有効商談1件4万円(税抜)の完全成果報酬型のBtoB営業代行(有効商談1件4万円)を提供しています。