商談の中で顧客が本音を語らず、表面的な言葉だけでやり取りが進んでしまうことは少なくなく、特にBtoBの商談では、担当者個人の懸念よりも社内向けの建前が先に出やすく、真の障壁が見えにくいまま話が進むこともある。こうした状況で効くのが、相手の感情や状況を言葉にして名付けるラベリング話法だ。断定せず「〜のように見えます」という形で相手の内面を言葉にすると、訂正や補足という形で本音が返ってきやすくなる。

ラベリング話法の基本構造

決めつけない。「あなたは〜だ」と断じるのではなく、「〜のように感じておられるかもしれません」と控えめに提示する。相手は訂正しやすい。結果として、本音に近い情報が返ってくる。

商談での使いどころ

使いどころは3つ。

沈黙や迷いを言語化する

相手が返答に詰まり、3〜5秒程度の沈黙が続いた際に「決めきれない事情がおありのようですね」と声をかけると、隠れた懸念が語られやすくなる。

反対意見を先取りする

「この提案には社内で慎重な声もあるかもしれません」と先に言葉にしておくと、相手は身構えずに本音を共有しやすくなる。

感情ではなく状況に焦点を当てる

相手個人の性格を評するより、置かれている状況や立場に焦点を当てたラベリングのほうが、反発を招きにくい。

ラベリングの型使用例
迷いの言語化「まだ判断材料が足りていないようですね」
反対意見の先取り「社内で慎重な意見もありそうですね」
状況への言及「予算の確保に苦労されているようですね」

ポイント:ラベリングは言い当てることが目的ではなく、相手が「違います、実は」と続きを話しやすくする呼び水として使うもの。

外れても構わない。訂正されること自体が、相手の本音を引き出す入り口になる。

業界・商材による使い分け

ラベリングが効きやすい場面は商談の性質によっても異なり、検討期間が長く関係者が多い法人営業では、担当者個人の本音より社内の力学が話題になりやすいため、状況に焦点を当てたラベリングがなじみやすい。一方、短期で完結する商談では、迷いの言語化程度の軽いラベリングが使いやすい。

商談の性質使いやすいラベリングの型
長期・関係者が多い法人営業状況への言及、反対意見の先取り
短期・意思決定者が単独の商談迷いの言語化

いずれの場合も、断定を避け、相手が訂正しやすい言い回しを保つという基本は変わらない。

よくある質問

Q. ラベリングが外れた場合、気まずくならないか A. 断定的な言い方を避けていれば、外れても訂正という形で会話が続き、大きな支障にはなりにくい。

Q. どのタイミングでラベリングを使うのが効果的か A. 相手が沈黙したり言葉を濁したりするタイミングで使うと、特に本音が引き出されやすい。

Q. ラベリングを多用しすぎるとどうなるか A. 頻用すると誘導的な印象を与えかねない。1回の商談で2〜3回程度を目安に、要所を絞って使いたい。

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